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ヒューマンドキュメント

日医文化総研が刊行する文化情報誌『知遊』では、2003年の創刊から毎号「ヒューマンドキュメント・医療機器を開発する人たち」と題する企画を連載しています。
医療機器の開発は、新しい治療法を生み出し、人の命を救い、患者QOLの向上をはかり、短期のうちに疾病からの回復を可能にし、より早く社会復帰する環境を促進します。このような医療機器を開発した功労者は、記録にとどめられ、世に広く知られ、後世に伝えられるに値します。それがまた、功績に報いる道でもあります。
しかし、開発の苦しみも喜びも、それが記録されなければ、多くの人がそれを知るすべはありません。そこで医療機器の開発現場に光を当て、秘められた開発物語を掘り起こし、開発過程をドキュメントの形式で記録し、出版して世に広く知らしめ、後世に残すことを当企画の目的としています。

取材・執筆者のご紹介

福山 健(ふくやま たけし)
1941年生まれ。早稲田大学卒。著作に、医療器材流通業に携わる人を描いた『サービスをつくり出す人びと―医療機器商社カワニシの挑戦』、『ホソカワミクロンのM&A戦略』『ニコンの技術者集団』(いずれもダイヤモンド社刊)他がある。「ヒューマンドキュメント 医療機器を開発する人たち」の取材執筆に10年あまり携わり、現在も続行。『脳動脈瘤手術に革命をもたらした「杉田クリップ」物語』は後に書籍として刊行され、英訳も出版されている。また、掲載記事は日本経済新聞社系列の大型デジタル媒体「日経デジタルヘルス」に転載され、高いアクセス数を示す。

谷下名誉教授

日本独自の医工連携人材育成プログラムを立ち上げる

谷下名誉教授(日本医工ものづくりコモンズ副理事長)は、「生命システムを工学的視点から捉えて、先端医療への応用をめざす」という目標を掲げ医工学分野で優れた業績を上げてきた。「日本医工ものづくりコモンズ」の活動に設立以来携わりながら、日本の医療機器産業の将来を見据え “日本独自の”人材育成プログラムを立ち上げる。そこには日本の大学で初めて「システムデザイン工学科」を立ち上げた経験が生かされている。

(『知遊』vol.29に掲載)

光嶋教授

患者の人生をも再建する、世界最先端に位置する形成外科医光嶋勲教授と超絶手技を支える器具の物語

光嶋教授は、顕微鏡下で直径0.3ミリほどの血管や神経、リンパ管をつなぐ超微小手術を開発し、世界20か国以上で講習会やライブ中継を行ってきた。その手術に欠かせない針や針糸、持針器などの器具はすべて日本製。日本が誇る精密加工技術が世界最先端の手術テクニックを支えている。

(『知遊』vol.28に掲載)

望月修一教授

山梨大学「医療機器設計開発人材養成講座」(やまなしものづくり産業雇用創造プロジェクト)担当、望月修一・特任教授(PART1・2)

山梨大学では、医療機器開発人材の養成を通じて世の中の役に立とうという独創的な講座が開設されている。 その名も「医療機器設計開発人材養成講座」。中小企業の医療機器事業への参入を促し、国産治療機器を開発する体制を整備したいという望月修一教授の思いが伝わってくる。

(『知遊』 vol26・27に掲載)

フジタ医科器械

海外現地の臨床ニーズにもとづく医療機器開発物語

「日本のものづくりを、海外の臨床現場へ!」という理念を掲げて誕生した「MINC(ミンク)の会」。同会を通じて得たニーズをもとに、途上国向け製品開発に熱心に取り組んでいるフジタ医科器械。もともと脳神経外科向けの精緻な医療器具の製作で高い評価を得ていた同社は現在、途上国向けのスマートフォンを用いた生体情報モニターの開発という新しい分野にも挑戦している。

(『知遊』vol.25に掲載)

柏野聡彦さん

医療機器産業への参入を成功させる「製販ドリブンモデル」開発物語

今日の医工連携は、「医」の臨床現場と「工」のものづくり企業、そこに医療機器産業を盛り上げて経済の活性化をはかる国や自治体の動きが加わり、かつてない活況を呈している。この医工連携による事業化の推進には、日本医工ものづくりコモンズ理事・柏野聡彦さんが考案した「製販ドリブンモデル」という開発支援ネットワークが大きく貢献している。

(『知遊』vol.24に掲載)

久保田博南さん

ワイヤレス医療機器の道を開いた「生体情報モニタ」開発物語

久保田博南さんは、心電図・心拍数、血圧、体温といった生体情報を継続的に測定記録する生体情報監視装置、さらにワイヤレス式の監視装置を世界で初めて開発し、「ミスター監視装置」と呼ばれるようになる。
「監視装置」が「モニタ」に名前を変え、「ミスターモニタ」と呼ばれるようになったいまもなお、久保田さんは最先端の開発に携わっている。

(『知遊』vol.23に掲載)

井家益和さん

ヒト細胞を組み込んだ日本最初の再生医療製品
「自家培養表皮ジェイス」開発物語

「再生医療の神様がいる!そのとき、思いました」と語るのは、「自家培養表皮ジェイス」のプロダクトマネージャー、井家益和さんだ。
自家培養表皮ジェイスは、大きな期待が寄せられている再生医療の分野で、日本初の製造販売承認を取得した。ジェイスの細胞シートは、年間約2,000枚の移植が行われ、「大やけど」といわれる重症熱傷を負った人たちの皮膚を再生し、命を救っている。

(『知遊』vol.22に掲載)

越智光夫教授

”ひざ痛治療革命”といわれる「自家培養軟骨」開発物語

世界最高レベルのひざ軟骨の再生手術が、公的医療保険を使って受けられる。
こんな夢のような出来事が、2013年6月、広島大学病院・整形外科で実現した。
越智光夫・広島大学大学院整形外科教授が、「自家培養軟骨ジャック」を用いて行ったこの手術は、軟骨再生医療への保険適用第一症例目となった。
目下、越智さんらは、さらに大きな可能性を開く再生医療の実用化に取り組み、国内外から注目を浴びている。

(『知遊』vol.21に掲載)

アトムメディカル株式会社

世界で最も低い新生児死亡率の実現に寄与した
「アトム保育器」開発物語(PART1・2)

(アトムメディカル株式会社)

日本の新生児死亡率は出生1000人中1人と、世界最高水準を20年以上維持している。それに大きく貢献しているのが、保育器をはじめ周産期医療分野の機器の開発一筋に力を注いできたアトムメディカルである。
「アトムの保育器」もまた、世界最高水準の品質と機能を持つ。

(『知遊』vol.19・20に掲載)

山海嘉之教授

世界に先駆けて進化する最先端人支援ロボット
「ロボットスーツHAL」開発物語

(サイバーダイン株式会社)

「つえを使わずにバージンロードを歩きたい」。そんな花嫁の願いを叶えたのは、なんとロボットだった。 下肢に障がいのある人や脚力が弱くなった人の、下肢動作や歩行をアシストする自立動作支援ロボットを開発した、山海嘉之教授(筑波大学大学院)と、サイバーダイン株式会社の開発物語。

(『知遊』vol.18に掲載)

大研医器株式会社

「クーデック」ブランド開発物語

(大研医器株式会社)

「世界から痛みをなくしたい」。大研医器では、このことを自社の使命として掲げている。
独自の「クーデック」精神から生み出された同社の疼痛管理製品の開発物語を、独創性に富む創業者と若き技術者の姿を通じてお伝えしよう。

(『知遊』vol.17に掲載)

ハンドアシスト法を用いた腹腔鏡手術を普及させた
「ラップディスク」開発物語(PART1・2)

修練を積んだ外科医の手は、鋭敏な触覚を備えている。患者の体表や内臓などに触れただけで、腫脹、浮腫、圧通、病変の有無を感知する。
この触診という優れた手技を、画像表示モニターのもとでの操作である腹腔鏡手術に何とか取り入れることができないだろうか。
ハンドアシスト(手の助けを得た)法を用いての腹腔鏡手術、その普及に大きく寄与したのが、ラップディスクの開発である。

(『知遊』vol.15・16に掲載)

株式会社島津製作所

X線機器の新たな領域を開いた世界初「直接変換方式FPD搭載
循環器用X線診断装置」開発物語(PART1・2)

(株式会社島津製作所)

1909(明治42)年、日本発の医療用X線装置を開発した島津製作所は、その100年後、今度は世界初となる医療用X線機器の開発に成功した。
「見えなかった」ものが「見える」ようになったことで、より的確な診断、より高度な治療への扉が開かれた。創業者の「夢のまた夢」を受け継いだ人たちの開発ストーリーをお届けしよう。

(『知遊』vol.13・14に掲載)

三井秀也医師

糖尿病患者を足切断から救う「マゴットセラピー」物語
(PART1・2)

ウジ虫を使った創傷治療「マゴットセラピー」の有効性は、旧約聖書の時代から認識されてきた。
そこに現代医学の光を当て、安全性を検証したうえで、イギリスやアメリカでは保険適用治療と認められたが、日本では保険給付医療になっていない。
マゴット治療を日本に導入し、糖尿病患者を足切断から救ってきた岡山大学の三井秀也医師らは、英米なみに保険給付医療に加えられることを願って治療の普及に努めている。

(『知遊』vol.11・12に掲載)

トレミキシン

肺血症に陥った人たちの命を救う世界初の血液浄化器
「トレミキシン」開発物語(PART1・2)

(東レ・メディカル株式会社)

「トレミキシン」は、敗血症に陥った患者を救う、世界初の血液浄化器。
開発されてから20年経つ今でも未だに、同レベルの製品はない。
この画期的な製品の開発は、小路久敬をはじめとする東レの繊維研究者と滋賀医科大学第一外科の体外血液循環研究チームが協力し、一人ひとりが地べたをはいずりまわるような努力を辛抱強く積み重ねることで、はじめて実現された。

(『知遊』vol.9・10に掲載)
2008年、アーカイブズとして再編集

山崎健二医師

国産初の体内植え込み型補助人工心臓の実用化に道を拓いた
「エヴァハート」開発物語(PART1・2)

補助人工心臓は、患者の心臓をそのままにして、ポンプで血液を送り出す働きを助ける。現在はポンプを体内に置く植え込み型が主流で、国産で植え込み型補助人工心臓の治験は、日本国内では初めての出来事だった。
「エヴァハート」は、山崎健二医師が考案し、東京女子医大と早稲田大学理工学部、米国ピッツバーグ大学、サンメディカル技術研究所の共同開発のもとで生み出された。その開発・治験に携わった人びとの苦闘と情熱を紹介する。

(『知遊』vol.7・8に掲載)
2007年、アーカイブズとして再編集

OLYMPUS

OLYMPUS「骨補填材オスフェリオン」(PART1・2)

骨腫瘍の摘出手術や交通事故などのけがで骨を欠損した場合、その部分に患者自身の骨を移植するという方法がある。しかし何度も手術を繰り返すこともあり、患者への負担が大きい。 そこで近年、人工骨補填材の開発が進化を遂げてきた。 オリンパスが開発した「骨補填材オスフェリオン」もその一つ。それまでの人工骨が生体に補填後も体内に残留するのに対し、オスフェリオンは移植後に患者自身の骨に置換されるという画期的な特徴を備えている。誕生までの物語を追った。

(『知遊』vol.5・6に掲載)

株式会社ジェイ・エム・エス

院内感染と針刺し事故の防止に大きく貢献する「プラネクタ」開発物語
(PART1・2)

(株式会社ジェイ・エム・エス)

ヒヤリ・ハットが生じるところには、必ず不満足が存在している。医療現場では、点滴などチューブを通じて薬液を投与する輸液ラインに関するヒヤリ・ハット事例が非常に多く、重大な医療事故につながりかねない。
「理想の輸液ライン」を作るため、若き研究チームがいかにして「理想」と「現実」を隔てる厚く高い壁を乗り越えたのか。

(『知遊』vol.3・4に掲載)

杉田教授

脳動脈瘤手術に革命をもたらした「杉田クリップ」物語
(PART1・2)

癌、心疾患とともに死亡率の高さで御三家といわれる脳血管疾患。とりわけ脳動脈瘤手術は緊急かつ精緻な医療技術を要する。開頭手術の場合は脳動脈瘤の根っこを特殊なクリップで挟み、瘤の中に血液が入っていかないように措置するため、クリップの性能は手術の成否に直結する。
杉田クリップは、その優れた性能によって脳動脈瘤手術に革命的進歩をもたらした。
開発した杉田教授をはじめとする数人の脳神経外科医の情熱と、それを敢然と受けてたった瑞穂医科工業の開発技術者たちの匠の技、「完璧なものへのこだわり」精神をぶつけ合った開発までのドキュメントを紹介する。

(『知遊』vol1・2に掲載)
2005年、単行本を発売。2006年、英語版を刊行

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